2021/11/21

子供の食生活

「太りすぎなので食生活を見直すように」

昨年の今頃、園医さんから、息子の担任を通して言われた言葉です。


「朝にパンばっかり出しすぎかな」

「野菜ジュース飲ませすぎかな」

「いや、休みの日に好きなおやつを食べさせているのがいけないのかな」


瞬時に私の脳裏に浮かんだ考えです。

それまでも、大きめの息子の食事には自分なりに気を遣っているつもりでした。でもそんな風に言われたら、途端に自分のやり方が間違っていた、と考えが簡単に変わります。子育てには自信がないから。


息子は持病があるので定期的に小児科にかかっています。そこでは毎回身長と体重を測って、成長曲線に載せたものを手渡してくださいます。生まれた時から大きめでしたが、母乳の要求も激しく、5歳の今までほとんど好き嫌いもなく、よく食べる子で、ずっと+2SDの曲線に乗っていました。子供らしく甘いものも大好きです。



言われた通り「食生活を見直す」にも、ワンオペで勤務時間も長く、食事にあまり時間をかけられないのも現実。ネットで情報を漁り、減量コーチとしての知識、といっても基本的には成長が終了した成人に関する知識ですが、それも応用して、なるべく健康的な食生活を心がけました。


子供はもともと自分の適量を大人よりよくわかっていると言います。ごはんにほとんど手をつけないのは、それほどお腹が空いていないからだし、中途半端な量を残すのは、そこで満腹になったから。大人の方が、「食事の時間だから」とか、「残したらもったいない」とか、お腹の空き具合を無視して食べるよう、社会的に調教されてしまっているのです。


それまで息子が好んで飲んでいた野菜ジュースや飲むヨーグルトを漸減・中止し、家で飲むのはお茶か牛乳か水だけにしました。朝ごはんはパンが多かったのですが、甘いパンを徐々に減らして腹持ちするお惣菜パンにしたり、時間に余裕があれば和食に変えました。3食以外は、少しくらいお腹が空いていても間食はしない(保育園では毎日おやつを食べていますが)。ただし、休みの日は、野菜さえ全部食べれば、他のおかずを完食しなくても、食後にデザートを食べても良い。


はじめは、うちの子だけ厳しくするのはかわいそう、と内心思っていました。でも、ある本で、一貫性あるルールに不満は出にくいが、一度例外を認めたりして他のやり方を知ってしまうと、再びルールを戻したときには想定以上に不満が出やすい、という人間の心理特性を知りました。言われてみれば、息子も今ではお茶や牛乳を美味しい〜と言って飲んでいます。それからは変な罪悪感を捨てて、健康的な食生活を続けるのがだいぶ楽になりました。外で遊んでいる途中にお友達がおやつを食べ出しても、「ぼくはやめておく」と断ることもできるようになりました。


食生活を変えながら、さらに「太っている」ことが「悪いこと」だと言う印象を与えないよう、細心の注意を払いました。健康にはなって欲しいけど、痩せないといけないわけではない。


最近のの定期診察では体重も+2SDから少し+1SDに近づいたようで、少し安心していました。


その矢先に、つい最近、また園医さんからの伝言です。

BMIが高いようですが、家では何を食べていますか?」


これ以上どうしろっていうの?人の苦労も知らないで

5歳児に、甘いものを一切禁止しろと?

園医さん、会ったことないけど、肥満の専門家?それにしては具体的なアドバイスは何もない


自分の方針に納得してたはずなのに、この一言で動揺しまくりです。


でも、徐々に冷静を取り戻して私の中の医師が反論します。


ちょっと待って、もう一度成長曲線に照らし合わせて、本当に太ってきているのかどうか見ないと。

かかりつけの小児科医は、これがこの子の体格なので問題ないですよ、と言っていたし

園医さんはデータを点で見ていて、個別の成長曲線を見ているわけじゃないのかも

息子は、確かにBMIで見るとぽっちゃりかもしれないけど、現時点で健康被害が出ているわけではない


こうして私は成長曲線を見直して、むしろ経過が順調なことを再確認しました。そして、今の食生活が大きくは間違っていないことを確認するチャンスを与えてくれた園医さんと保育士さんに感謝の気持ちも持てました。


子育てには絶対的な「正解」がないと思います。でも子育て経験のある大人は、自分の考えを教えて(押し付けて)くれることもある。医師の意見だって、自戒の意味も込めて、絶対的な事実ではなくて、最も科学的に根拠のある意見です。将来的に否定されるかもしれないし、現に医学は日々進歩して昨日の常識が今日の非常識になることも多々あります。


子育てアドバイスを一意見として素直に聞いて、参考にはするけど振り回されず、自分の信じるように子育てができれば、子育てを心から楽しめるのかもしれません。

でも、そうはいかないことがほとんどです。少なくとも私はだいたい義理の母や保育士さん、園医さんとか、私より経験豊富な人達に認めてもらえないと感じると、不安になる。


日本人を含むアジア系の文化では、不確定なことを判断しないといけないとき、社会的証明(周りがどうしているのか)を重視すると言います。それはそれで一つの判断方法で、結果オーライな事も多いでしょう。でも周りの意見で自分を精神的に追い詰めてしまうくらいだったら、意識的に周りの雑音の音量を下げてみて、自分の中に埋もれている判断力をもう少し信頼してみるのも、良いかもしれませんね。


今回少し触れた心理学の話は、ロバート D チャルディーニの著書から抜粋しました。

2021/11/15

限定品

これを書いている日は七五三の日です。

みなさんは千歳飴に思い出はありますか?私の子供の頃、不二家の千歳飴が好きだったのを覚えています。


日本には季節ごとの和菓子とか、バレンタインとかクリスマスケーキとか、ある時期しか店頭で見ないものってたくさんありますよね。


期間限定、地域限定、数量限定など、「限定」とつくものは、通常品よりもよく売れます。

「これを逃すと手に入らないかもしれない」という希少性、不足感につけこんだ定番の心理作戦です。旅行先や、久しぶりの外食で「せっかくだから」と食べすぎるのも、同じ心理です。


この心理は、生き延びるための原始的な本能で、食料が安定的に手に入らない時代には、大いに役に立っていました。でも、現代では必要以上に食べてしまう原因の一つでもあるので、注意が必要です。


こういった限定品が欲しいな、と思った時に、「限定品じゃなくても欲しいか」と立ち止まることで、無駄遣いを減らすことはできると思います。


それに、本当にこれを逃したら手に入らないのか?実はネットで探せば手に入るのでは?

同じようなものなら、年中買えるのでは?なんなら、その気になれば手作りできるのでは?


他にも、食べ過ぎの原因になる考えはたくさんあります。


「ご飯を残したらお百姓さんに申し訳ない」

「世界には、食べるものがなくて苦しんでいる子供もたくさんいるんだから、残したらダメ」

「おかずを残したらデザートはなし」

「頂き物だから」

「フードロス削減のためだから」


個人的には、小学校1年生のとき、給食を完食しないといけないルールだったけど、私はそれが食べられなくて、他の子供が机を教室の後ろに下げて掃除をしている間、一人だけ教室の真ん中で食べ続けていた思い出があります。


こういう子供時代だったので「好き嫌いせず、すばやく、完食することが正しいこと」と知らずのうちに植え付けられていました。


思春期以降は食べ物を残すことはなくなり、いつの間にか男子顔負けの早食いになっていました。医師になってからは早食いの方が得するので、今でも食事に5分くらいしかかけないこともざらです。


食べ物以外でも、目上の人が言っていたから疑ったこともなかったけど、時代にそぐわなくなっていたり、冷静に考えると実はおかしいことってあると思います。


伝統を守っているという場合もあるかもしれません。でも、それを信じ続けて自分にメリットはあるか、一度振り返ってみてください。メリットがあるかどうかの判定は、それを考えた時の気分をまず思い起こすことです。


例えば「今しか食べられない」という考えから生じる気分はどうでしょう。

焦りとか切迫感に似た感情をおぼえる人も多いのではないでしょうか。

こういう感情から出る行動は、多めに買ったり、食べ過ぎたりでしょう。その結果、食べ物のことで色々考えてしまって、痩せることは難しくなります。


逆に、その考えを「本当に欲しければいつでも買えるから」に変えてみます。

そこから生まれる感情は満足とか関心が薄れるとか自制とかでしょうか。その結果、必要なものを必要な量だけ買って食べるという行動に結びつき、食べ物の心配は減り、体重も増えにくいと思います。


もう一つ興味深いのは、お金に関する意見や信念です。

お金を稼ぐことに、どこかでマイナスイメージを抱いている人は多いのではないでしょうか。

実際にはある程度の資産があっても、お金がないと愚痴をこぼしている方がほっとするというか、妬まれずに済むかもしれません。

こういう潜在的な考えを放っておくと、お金を稼ぐと罪悪感を抱いて、その罪悪感から逃れるために知らずのうちに浪費してしまうことも多いのです。コーチングで取り組むことが多いトピックです。


子供の頃から知らずのうちに事実だと思っていたけど、実は他人の意見で、それを信じ続けることになんのメリットもないもの、あなたにはありませんか?

片付かない家

今回は家がなかなか片付かない現象について書きます。一見ダイエットと関係ないようですが、類似した点が多いんです。


家が片付かない原因は、もちろん片付ける時間がないというのもあると思いますが、そもそも持ち物が多すぎたり、買い過ぎている場合も多いと思います。


仕事柄、時間はないけどお金がないわけではない、というのも関係あるかもしれません。独身の時は特に、お金を使うと言っても旅行に行く時間もないし、服とか食べ物に使う金額が増えやすいのかもしれません。私も当直していた頃は、当直明けは特に気持ちが大きくなって、デパートに寄って服やバッグ、靴などを買うことがありました。昨今はネットで、ポイントアップ期間中だし、とか言い訳しながらついつい買いすぎてしまうという人もいるでしょう。


マイナスな感情を押し殺したり、誤魔化すために、ショッピングに走る女性は少なくありません。人によって食べ物だったり、アルコールだったり、携帯ゲームやSNSの場合もあるでしょう。こういう行動をbuffer(緩衝・中和)と呼んでいます。快楽と言っても、マイナス面が全くない、自然な快楽だったら何の問題もないんです。例えば何かをやり遂げた終えた後の達成感とか。でも、それが美味しいものだと、食べすぎれば体重が増えるし、買い物だって必要以上に買えばお金がかかるというマイナス面があります。


ショッピングは、買った瞬間は快楽を得られるけど、実際には履き心地が悪い、合わせる服がない、着られる場面が限られてしまう、などの理由で結局使わないこともあるでしょう。体型が変わったら、新しいサイズの服を買わないといけないし、また元に戻れば着るかもしれないから、と以前の服も捨てることができない。妊娠でもすればマタニティ服も買う。私なんて一人目の妊娠を契機に靴のサイズが一つ大きくなってしまったから、靴も買い替えないといけなかった。お金を使ってしまったことで家計を圧迫する、かといって捨てるのはもったいないのでクローゼットがパンパンになる・・・お金がかかる事以外にもマイナス面があって、合計すると結局マイナスになってしまっている。


自分の服はそうでもないけど、子供服で買いすぎてしまうというママもよく聞きます。でもこれだって続ければ部屋が片付かないし、小さくなった服だけ処分しようと思っても、母数が多いので大変。服じゃなくて、インテリア好きな人もいるかもしれません。素敵なデザインがちょうどセールでお得に買えたり、家がオシャレになって気分が上がる反面で、買った分と同じだけ処分しなければ、家の中の物は増える一方。化粧品の人もいるでしょう。こっちの化粧品の方がいいかしら、今季はこの色が流行っているから、お店の人が勧めるからと、買うのは簡単ですが、同じだけ処分できなければ、洗面台が溢れてくるのも時間の問題です。


極め付けは、お金を無駄にしてしまったことや、今度こそ物を減らすと決めていたのに、できなかった自分を非難する気持ちまでついてきます。以前に説明した思考モデルで、こういった潜在的な考えは、マイナスな結果の原因になってしまうことも予想がつくでしょう。


自分は日々どんな事でストレス解消しているかな?それってマイナスの面はないのかな?ずっとこのまま続けたいかな?


まずはそこに気づくことが大切です。今すぐにやめるというのは難しくても、「いつかはやめたい」とか「減らしたい」という考えに気がつくことができれば、徐々に行動も変わっていく可能性が出てきます。


ものによっては、確かにマイナス面もあるけど、プラス面がはるかに大きいことに気がついて、あえて続けることを選ぶこともあるかもしれません。その場合は、自分が選んだことだから、と罪悪感なくやる方が健全だし楽なんではないでしょうか。

2021/11/11

食事の計画を立てる

以前、脳には一日46万の思考が飛び交っている、と書きましたが、その中には食べ物に関するものもあります。


「◯◯ごはんは何食べようかな」

「冷蔵庫に何があったかな」

「あれはもう腐っちゃったかな」

「昨日も◯◯食べたしなぁ」

「◯◯の気分ではないな」

「野菜は足りてるかな」

「ちょっととりすぎたかな」

「この期間限定メニューは食べておかないと」

「頂き物だから捨てるのは申し訳ない」

「全部食べちゃおうかな」

「残すべきかな」

「隠しておいた◯◯、子供が寝た後に食べちゃおう」


などなど・・・。


その時の気分で決めることは、脳の原始的な部分で判断をしていることになります。例えるならば、よちよち歩きのこどもに刃物を持たせているような感じです。キラキラ光るから気になったんでしょう、拾って無邪気に振り回していますが、放っておいたら危険ですよね。それに対して、冷静な判断を下す前頭前野は、こどもの安全を見守る親のような存在です。


普段からその日の気分で食事をしていて、その結果として体重が理想より重たくなっているとしたら、前頭前野で食事を決める、つまり事前に食事の計画を立てるのをお勧めします。具体的には、前日までに、一日のスケジュールをシミュレーションして食べるものを決めてしまい、手帳か携帯のメモに書き出します。当日は、迷うことなくそれに従うだけです。


そうは言っても、当日になって不測の事態があり、計画がすべて水に流れた、ということもあるかもしれません。そんな時のために、A案だけでなく、B案、C案とあった方が、さらに効果的です。

自分の生活圏内で、食料が手に入るお店をリストアップします。それぞれのメニューを事前に調査して、これがダメならこれ、時間がない時は冷凍庫のこれ、それも無理な時は非常食として素焼きナッツ一袋、などというふうに保険を7つくらい用意しておけば、かなり安心です。


当日になって、新製品が目についたり、「そんな気分じゃないんだけどなぁ」となるかもしれません。その原始的な心の声には、子供に語りかけるように「そうだよね〜、でもこっちを食べようね〜」と上手に誘導してあげます。

どうしても気になった新製品は、よく考えて、翌日以降の計画に入れれば良いのです。


食べ物に関する脳の雑音が減って、他のことにエネルギーを費やすことができます。

食事日記をつけている人は、この食事計画に修正を加えるだけで済むので、記録が非常に楽になります。

自炊する人は、事前に計画することで食材の無駄が減って、食費も多少浮くかもしれません。

2021/11/10

肥満物質の正体

今回はダイエットの医学的な話に触れます。

今までの医学では、カロリー理論といって、カロリーのイン・アウトバランスで太ったり痩せたりする、と言われていました。しかし、実際はそんなに単純ではなく、食事で摂取カロリーを制限すれば、消費されるカロリーも減ってしまい、運動して消費カロリーを増やそうとしても、運動時以外の活動量が減って一日の消費カロリーはあまり変わらなかったりと、生理学的に体重を維持しようとする機構が働くことがわかってきました。

インスリンは、食事から吸収された糖を細胞内に貯蔵するホルモンです。現代人の食事は血糖値が急上昇する食品に溢れ、さらに、食事あるいは間食のタイミングも早朝から深夜にわたり、インスリンが過剰分泌されやすくなっています。本来は食後にスパイク状に分泌されるインスリンが、常に血中にあり、さらに糖も供給過多のため、糖を細胞内に貯蔵すると言うインスリンの本来の作用がだんだん弱まってしまいます。この作用を補填するために、さらにインスリンが分泌されます。これがいわゆるインスリン抵抗性の状態で、これこそが、体重をじわじわと増やしている犯人だと言われています。


痩せるには、いかに体を脂肪燃焼モードにしてあげるか、つまり、肥満物質の正体がインスリンだとわかったので、インスリンの分泌を抑えることがポイントになります。逆に、カロリーを計算することは、今日からやめちゃって大丈夫です。


血中にあふれた糖は細胞によって消費され、ある程度血糖値が下がれば、肝臓に貯蔵された糖が血中に放出されて、エネルギー源となります。それも減ってきて、初めて脂肪が燃焼するわけです。食後数時間経つと強烈な空腹感に襲われるのは、血糖値が相対的に下がり、手っ取り早く血糖値を上げるために脳が「何か食べて〜」と体に信号を送っている状態です。血糖値を手っ取り早く上げる食品を避ける、これを数週間続けることで脂肪が燃焼しやすい代謝に変わります。そうすると、強烈な空腹感もなくなります。間食や夜食、あるいは甘い飲み物を飲む習慣がある人は、これをやめるだけでもかなり効果的です。


もともと間食はあまりしない、糖質も抑えている、と言う人にお勧めなのがファスティングです。例えば、朝食あるいは夕食を抜くことで、16時間程度のファスティングとなり、その間は脂肪が燃えやすくなります。ただし脱水になりやすいので、水分はいつもより多めにとってください。やり始めて数日は耐えられない空腹感に襲われると言う人もいますが、そう言う場合は脂肪分を摂ってみてください。インスリン分泌を促進する食品として糖質が代表的ですが、タンパク質もインスリンは分泌されます。つまり食べすぎれば太る。脂肪分は、インスリンが分泌されにくいけれども満足感を与えてくれるので、ダイエットの救世主となり得ます。例えば朝起きた時はお腹が空いていないけど、朝食を抜くと、午前中にお腹が減って仕事にならない、という人は、コーヒーに高脂肪の生クリーム(無糖)を入れて飲んでみてください。空腹感が落ち着くと思います。コーヒーフレッシュはトランス脂肪酸が入っていますので、動脈硬化の観点からあまりお勧めはしません。


今回の内容の出典は、ジェイソン・ファン先生の「トロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダ」という著書です。文献を見ないと信じられない!という方は、ぜひご参照ください。


最後に、ファスティングは昔から人類がやっていることだし、最近医学会でも見直されつつある方法ではありますが、生活習慣病などで病院にかかっている人は、自己判断でやるのではなく、必ず主治医の指示を優先して下さいね。

2021/11/09

コーチング

日本ではまだメジャーではないライフコーチングについて、説明したいと思います。

はっきりとした定義はありませんが、コーチングというのは、企業研修とか人材育成で活用されることが多くて、仕事のやり方とか、部下の指導法にまつわる手法だと思います。ライフコーチは、仕事以外にも人間関係とか、育児、健康など、人生におけるあらゆる悩みを、クライアントと共に解決していくものです。個人に対するコンサルティングみたいな感覚でしょうか。カウンセリングや精神療法とも少し似ていますが、カウンセリングは資格を持ったカウンセラーや臨床心理士が精神的不調によって社会的な活動が思うように送れない人を治療するもので、コーチングは、社会生活はできているけども、より良いところを目指したい人向け、という感覚です。比較的新しい産業で規制がないので、誰でもライフコーチを名乗ることができます。


私がこのブログで紹介する手法は、アメリカ人のBrooke Castilloブルック・カスティーヨという女性が、精神療法である認知行動療法や、ブルネ・ブラウン、エッカート・トーレなどの著者の考えをもとにまとめたものです。その中核となる「思考モデル」というコンセプトが、非常にシンプルかつ普遍的で、多くの人の共感を得ています。


世の中にはまず、客観的事実というものがあります。天候や自然災害、ニュースで見る世の中の出来事のほかに、人の職業や体格など数値化できるもの、他人の行動や言動もこれに当たります。

この客観的事実を知った時、私たちの脳には色々な考えが浮かびます。ひとまずここでは思考と呼びましょう。

この思考により、感情が芽生えます。

感情に突き動かされてさまざまな反応を示したり、行動に出たりします。その行動の集大成が現在の結果であり、結果は最初の思考を証明することがほとんどです。


例えばあるダイエット中の女性が体重計に乗ると、62kgと示したとしましょう。脳裏に浮かんだのは「やっぱり痩せられない・・・」。苛立ちという感情が芽生え、苛立ちから家族にあたってしまったり、どうせ痩せられないんだから、と我慢していたお菓子を食べたり、体重を測るのをやめて考えないようにしたりしたとします。その結果「痩せられない、醜い自分」を演じ続けているとも言えます。


事実:62kg

思考:やっぱり痩せられない

感情:苛立ち

行動:家族にあたる、我慢していたお菓子を食べる、体重を測るのをやめる、考えないようにする

結果:痩せられないどころか、太る可能性を高めて、醜い自分を演じ続ける


思考は、脳裏に浮かぶ文章やフレーズで、一日に46万個飛び交っています。自動的に脳に浮かびますが、必ずしも事実ではありません。そこには今までの人生経験に基づいた主観が多分に入っているからです。そして、大変嬉しいことに、思考は訓練すれば変えることができます。


先程の例で言うと、もともと80kgだった人が体重計に乗って、62kgを示したら、数字は一緒でもきっと違う考えが浮かびますよね?あるいは、先程の同じ人も、よくよく聞いてみると実際は3週間前と比べれば1kg痩せていたことがわかれば、最初の思考は事実とは異なるということが自覚できます。そこから「期待していたほどではないけど、1kgは痩せた」と思考を変えることができるかもしれません。


事実:62kg

思考:期待していたほどではないけど、1kgは痩せた

感情:興味

行動:とりあえずはダイエットを続けてみる、自分なりにもう少し工夫してみる

結果:努力を続け、小さな成功体験を積み重ね、少し自信がつく


私たちの今の人生は、今までの行動の結果であると考えて、満足していない結果は、その根本にある考え(思考エラー)を暴いて、そこから少しずつ変えていくと言う方法です。

巷のダイエット法も、病院で指導されるカロリー制限も、行動の部分だけ変えるものなので、根本の思考は変わっていません。だから、意思の力が疲弊したり、うまくいかなくなった時、あるいは目標を達成した後に、昔の癖が戻ってしまいやすいのです。コーチングの手法で思考をコントロールできるようになれば、行動と結果は自ずとついてきます。


こんなふうにコーチングはダイエットにも非常に効果的ですが、人生のあらゆる場面で応用できるのが、一粒で2度、いや3度でも何度でも美味しいところです。

今後実践方法を紹介していきますので、乞うご期待!


対症療法ではなく、根治を目指す。

食事日記

減量に役立つもう一つのツールに、食事日記があります。

実際、食事日記をつける人は付けない人と比べて、減量も、その後の体重の維持も成績が良いというデータもあります。


一日の間に口に入るもの全てを、時間と共に記録します。3食以外にも、飲みものもですし、食後少し物足りなくてヨーグルトを買って食べた、とか、外来で看護師さんが飴をくれた、とか。お弁当を作りながら、お弁当箱に入りきらなかった唐揚げを一つ食べた、とか。忘れてしまわないうちに、こまめに記録することが正確性を維持する上ではポイントとなります。しょっちゅう何かしら口にしている人はちょっと大変かもしれません。でも、少量ずつ回数を分けて食べることは、また別の機会に詳しく説明しますが、インスリン分泌の観点からは非常に痩せにくい食べ方ですので、食べ方のスケジュールを見直すきっかけにもなるかもしれません。


面倒だから結局続かない、と思う人が大半でしょう。あとよくあるのが、人様に見せられないような内容を書くことに抵抗がある場合です。あるいは、なにか食べてしまったものを後悔していて、書くのをやめてしまう。


でもなるべくシンプルに、続くように工夫すれば、これ以上貴重なデータはないんです。病気の治療もそうですが、正確な原因を突き止めた方が、治療も、予防もしやすいはずです。


これはあくまでも自分のためのデータに過ぎません。外来の日は、終わった後に甘いおやつを食べてしまう傾向がある、とか、外食すると頼み過ぎて、残すのがもったいないから食べ過ぎる傾向にある、とか。こういった傾向を見つけてこそ、有効な対策を考えることができます。さらに、食事前後の空腹スケールも記録しておけば、食材によってどのくらい腹持ちするかのデータにもなります。体重を毎日測って照らし合わせれば、こんな食品を食べると翌日浮腫んで体重が増えやすいんだ、とか、そういう傾向も見えてきます。



食べてしまったことを後悔する気持ちから、書くのを忘れるという心理的なブロックが働く人もいるでしょう。出来上がった日記は優等生そのものです。でもこれって、自分に嘘をついて、自分がダメージを食らっているだけじゃないでしょうか。優等生な日記を見直しても、「食生活は完璧なのにやっぱり痩せない」という間違った認識を生んでしまうだけで、ちゃんとできれば本当は効果があるかもしれないのに、途中でやめてしまう。百害あって一利なしです。


もし書くのを忘れても、気を取り直して思い出せるところからまた書いていきます。食べてしまった自分を非難する気持ちはいったん置いておいて、好奇心をもって記録を続けてみてください。自分の食生活の傾向と対策には、これ以上のデータはないのですから。

空腹スケール

このブログでは減量の助けとなるツールをいくつかご紹介しますが、今日はその中でも空腹スケールについて説明したいと思います。


Katrina先生の勧めるスケールでは-10は空腹で倒れそうな状態、+10は食べ過ぎで苦しくて、吐きそうな状態、ゼロは空腹でも満腹でもない状態です。目標は-4になってから食べることと、+4になったらそこでやめることです。完全に主観的なスケールなので、人によって違って当然なのですが、-4というのは空腹だけど、空腹が強すぎて力が入らないとか、極端ではない状態です。+4というのは、お腹が満たされて、ちょっと走るのはやめておくけど歩くくらいならどうってことない、という感覚です。


つまり、ちゃんとお腹が空いてから、でもお腹が空きすぎて食べすぎてしまうようになる前に食べて、腹八分目でやめる。これだけです。当たり前すぎて呆れる人もいるかもしれませんが、この当たり前のことができていない人は思っているより多いんです。例えば、朝起きてすぐ、お腹は空いていなくても必ず朝食を食べる。お昼の時間になったから食べる。あとで時間がないかもしれないから、今のうちに食べておく。こう言う人は意外と多いのではないでしょうか。それから、残すのはよくないから全部食べて苦しくなる、とか、お腹はいっぱいだけどデザートは食べるとか、お腹はそんなに空いていないんだけど、そこにあるお菓子を無意識に食べていたとか。


私は、朝起きてすぐはお腹が空いていないから、朝食を抜いてみました。始める前は、子供と一緒に食卓を囲んで、大人が食べている姿を見せることも発達上大切なんじゃないか、と心配もありました。しかし、実際やってみると、時間がない中で自分が焦って食べる必要がないので、子供に食べさせたり、食べこぼしを拭いたり、冷蔵庫から牛乳を取ってきたりできるし、時間に余裕ができて、以前はイライラしやすい時間帯が、子供と過ごす充実した時間になりました。


お腹がちゃんと空くまで待っていたら、スケジュール的にそのタイミングでは食べられないかもしれないと言う人は、食べ始めは-2くらいかもしれないけど、とりあえず+4になったらやめるところだけでもやってみるといいかもしれません。


これを始めるだけで数kg痩せられたという人もいます。

逆に、これを守るのがすごく大変な人もいます。例えば、食後数時間するとめちゃくちゃお腹が減って、なんならご飯の時間より早くに-6くらいになっちゃうので、何か食べずにはいられない人。私も以前はそうだったんですが、これは、糖代謝に偏った食生活の人に多くて、食事内容を見直していくと改善します。

他には、お腹がパンパンにならないと満足できない人。これは、考え方の癖なので、コーチングで変わっていきます。まずは試してみて初めて自分の傾向がわかるかもしれません。

なんで太るのか?

今回は、医師が太る原因について考えてみました。

医学生時代に先輩から聞いて印象に残っているのが、外科系の先生は飲み会が多いから太りやすく、内科系の先生は美味しいもの食べてストレス解消してだんだん太っていくのだと。当時は「そんなものか〜。私は外科系に進むけどお酒弱いから、きっと美味しいもの食べ過ぎて太るのかな〜」と、太ることを運命と思って受け入れていました。

労働時間が長くて、生活リズムが超不規則。手術中はもちろん、外来中でもお昼を食べることはハードルが高い。食べられたとしても、待たせている患者さんにバレないように、かつなるべく待たせないように早食いになったり。

睡眠サイクルが不規則。寝不足はコルチゾールの分泌を促進して、痩せにくい条件となってしまう。それに加えて変な時間に食べてしまう時も。

当直や、忙しかった1日の「ご褒美」と称して豪華な出前を頼んでしまったり、アイスを食べてしまったり・・・

私は子持ちになってから当直を免除してもらっていますが、忙しかった時代のこういった「くせ」は意外と残ってしまっていたりします。


あと、昨今はかなり減っていると思うけど、DI弁当。揚げ物尽くしで太りそう、と思っても、無料だとついつい食べてしまう。あるいは、夕方に医局に戻ったら、誰かのお土産のお菓子が置いてある。小腹もすく時間、せっかくだし、とつい一つ手に取ってしまう。


極め付けは、医師は、いわば人体のエキスパートのはず。正しい痩せ方だって知っているはずだし、そもそも太ること自体、おかしい!?というプレッシャーを感じてしまっている。このプレッシャーが、逆に、痩せるというゴールから遠ざかる原因になっている。


運動したり、健康的な食事を用意したり、こうやったら痩せるだろうな〜、と頭をよぎっても、いやいや、そんな時間はない、と即座に否定。そんな時間があったら寝たいし好きなことしたい。なかなか実行に移せません。


逆に、太っていないドクターはどうやって体型を維持しているのか?みなさんも、一度身近な人に聞いてみてください。あくまで私の印象ですが、医師に限らず、痩せている人は食へのこだわりがあまりなく、忙しくて食べられなかったらそのままお昼は抜いて夕飯まで待てる。定食を食べていても、ちょっと残したりする。満腹になれば、そこで食べるのをやめます。お土産が置いてあっても、特に好きなものでなければ手をつけない。それから、12食でちょうどいい、という人もいます。それに加えて自転車やランニングが趣味で、通勤時間を運動にあてているという人も。


このような痩せている人の生活習慣を真似すれば、痩せることはできます。でも、根本の考え方を変えずに行動だけ変えると、どこかで反動がやってきます。「我慢して」あるいは「頑張って」やっている、つまり意思の力に頼っているわけですが、意思力は筋力と同じだと思ってください。人によっては意思の力が優れている人もいます。受験勉強の時に発揮したドクターも多いかもしれません。でも、ずっと使い続けると疲労してしまいます。「これだけ頑張ったんだし、そろそろ」とか「このくらいは食べても許されるはず」とか、「今日は当直だから特別」とか、どこかで心の声が勝って、我慢を永遠に続けることは不可能だと思います。

頑張って痩せたあと、維持できている人が少ないのは、このせいかもしれません。


でも、認知行動療法をもとにしたコーチングで、考え方にアプローチできれば、我慢するのではなく、痩せている人と同じメンタリティに変貌することができます。例えば、チョコレートが大好きで、テーブルの上に置いてある美味しそうなチョコレートを見た時の反応が「うわぁ、美味しそう!」だとします。同じテーブルの上に玉ねぎが置いてあったら、どんな反応をするでしょう?特に気にも留めないかもしれません。玉ねぎを今すぐ食べたいけど必死で我慢する、という人はかなり少ないと思います。チョコレートを見た時の反応が、玉ねぎを見た時の反応に近づけば、我慢しなくて済みますよね?コーチングでは、そういうことができてしまいます。だから、減量効果をキープするのが簡単なのです。

初めまして!

はじめまして!ライフコーチ・減量コーチのまきと言います。

世の中のダイエット法って、医師の指導で行う食事療法から運動療法、サプリメント、それ以外にも色々ありますし、一緒くたにするのはどうかと思いますが、それぞれ効果が出る人もいれば、理由はどうであれ、続かなかった、という人もいると思います。

ダイエットが続かない理由、あるいはダイエットに成功したけどもその後リバウンドしちゃう人も実はとっても多いのですが、その理由って、考えたことありますか?


結構多い原因としては、そのダイエット法を、痩せるまでの期間限定と思って我慢して(またはお金を注ぎ込んで)やっている事、つまりそのダイエット法は一生続けるには無理があった、というのがあると思います。あるいは、頑張って食事を見直して長く続けたけど、時間と共に効果がなくなっちゃったり、体重がプラトーして(しばらく減らない)やる気をそがれ、次第にもとの食生活に戻っていったという人もいるかもしれません。「これだけ頑張ったんだしそろそろ解禁」みたいな心の声です。


こういったダイエットの失敗やリバウンド現象は、医学的に正しい知識を身につければ、ある程度避けることはできます。でも、それだけで適正体重を長期的にキープできる人はどれほどいるでしょうか。


世の中のダイエット法、「医学的根拠」に基づいたものを含めてですが、その99%に完全に欠如している大事な要素、それが精神面のサポートです。なにも「気合いが足りない!」と精神論を説いているのではありません。肥満症診療ガイドラインにも生活習慣改善療法の3本柱として食事、運動、行動療法と記載されていて、行動療法は心理療法の一つです。しかし行動療法を取り入れている減量外来といっても、まだまだ少ないのが日本の現状です。


ここで登場するのがコーチングです。日本ではまだ認知度は低いですが、企業研修や教育の現場で一部活用され始めています。北米を中心として急速に成長しているライフ・コーチングは、仕事や人間関係をはじめとして、クライアントが抱えるちょっとした悩みを一緒に解消し、より充実した毎日にしていくためのもので、減量とその効果の維持に非常に有効なことがわかってきました。さらに、コーチングはコンセプトを学べば自分でも実践することができるのが素晴らしいところです。


私は数年前にKatrina Ubell先生の “Weight Loss for Busy Physicians”というポッドキャストを聴いて減量コーチングに出会い、産後に増えた体重を結婚式の時の体重まで減らすことに成功しました。でも変わったのは体重だけではなくて、子育てや夫、両親、義理の母との関係、職場のストレス、キャリアの考え方、全てにおいて一皮剥けたように感じています。そしてそれは現在進行形で、自分も子育ても人間関係も日々進化しています。


私はもともと帰国子女で、学士編入で医学部に入り、外科系でキャリアを少し積んだ後、高齢出産を経て2児の母となりました。43歳でコーチングと出会うまでは、人生の目まぐるしい変化に翻弄されていましたが、今は、毎日を充実させ、自分の道を切り開いていけるような、そんな意識改革が進んできたと感じています。


先のポッドキャストでは減量を中心としてコーチングの手法について詳しく解説しているのですが、なにせ全部英語なので、友達にお勧めしてもなかなかハードルが高いようです。そこで、こうやって日本語で紹介しようと思い立ちました。いい加減なことは言いたくない性質なので、思い切ってKatrina先生のプログラムに参加してみました。そこでさらにコーチングにハマり、なんとKatrina先生と同じ学校でライフコーチの資格も取ってしまいました!


ここでは、減量を中心としたコーチングについて解説していきたいと思っています。常勤の勤務医で休みの日は5歳と2歳の育児に手がかかるため、質問していただいてもなかなか返答できない可能性もありますので、ご了承ください。

体調不良のとき

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