2021/11/21

子供の食生活

「太りすぎなので食生活を見直すように」

昨年の今頃、園医さんから、息子の担任を通して言われた言葉です。


「朝にパンばっかり出しすぎかな」

「野菜ジュース飲ませすぎかな」

「いや、休みの日に好きなおやつを食べさせているのがいけないのかな」


瞬時に私の脳裏に浮かんだ考えです。

それまでも、大きめの息子の食事には自分なりに気を遣っているつもりでした。でもそんな風に言われたら、途端に自分のやり方が間違っていた、と考えが簡単に変わります。子育てには自信がないから。


息子は持病があるので定期的に小児科にかかっています。そこでは毎回身長と体重を測って、成長曲線に載せたものを手渡してくださいます。生まれた時から大きめでしたが、母乳の要求も激しく、5歳の今までほとんど好き嫌いもなく、よく食べる子で、ずっと+2SDの曲線に乗っていました。子供らしく甘いものも大好きです。



言われた通り「食生活を見直す」にも、ワンオペで勤務時間も長く、食事にあまり時間をかけられないのも現実。ネットで情報を漁り、減量コーチとしての知識、といっても基本的には成長が終了した成人に関する知識ですが、それも応用して、なるべく健康的な食生活を心がけました。


子供はもともと自分の適量を大人よりよくわかっていると言います。ごはんにほとんど手をつけないのは、それほどお腹が空いていないからだし、中途半端な量を残すのは、そこで満腹になったから。大人の方が、「食事の時間だから」とか、「残したらもったいない」とか、お腹の空き具合を無視して食べるよう、社会的に調教されてしまっているのです。


それまで息子が好んで飲んでいた野菜ジュースや飲むヨーグルトを漸減・中止し、家で飲むのはお茶か牛乳か水だけにしました。朝ごはんはパンが多かったのですが、甘いパンを徐々に減らして腹持ちするお惣菜パンにしたり、時間に余裕があれば和食に変えました。3食以外は、少しくらいお腹が空いていても間食はしない(保育園では毎日おやつを食べていますが)。ただし、休みの日は、野菜さえ全部食べれば、他のおかずを完食しなくても、食後にデザートを食べても良い。


はじめは、うちの子だけ厳しくするのはかわいそう、と内心思っていました。でも、ある本で、一貫性あるルールに不満は出にくいが、一度例外を認めたりして他のやり方を知ってしまうと、再びルールを戻したときには想定以上に不満が出やすい、という人間の心理特性を知りました。言われてみれば、息子も今ではお茶や牛乳を美味しい〜と言って飲んでいます。それからは変な罪悪感を捨てて、健康的な食生活を続けるのがだいぶ楽になりました。外で遊んでいる途中にお友達がおやつを食べ出しても、「ぼくはやめておく」と断ることもできるようになりました。


食生活を変えながら、さらに「太っている」ことが「悪いこと」だと言う印象を与えないよう、細心の注意を払いました。健康にはなって欲しいけど、痩せないといけないわけではない。


最近のの定期診察では体重も+2SDから少し+1SDに近づいたようで、少し安心していました。


その矢先に、つい最近、また園医さんからの伝言です。

BMIが高いようですが、家では何を食べていますか?」


これ以上どうしろっていうの?人の苦労も知らないで

5歳児に、甘いものを一切禁止しろと?

園医さん、会ったことないけど、肥満の専門家?それにしては具体的なアドバイスは何もない


自分の方針に納得してたはずなのに、この一言で動揺しまくりです。


でも、徐々に冷静を取り戻して私の中の医師が反論します。


ちょっと待って、もう一度成長曲線に照らし合わせて、本当に太ってきているのかどうか見ないと。

かかりつけの小児科医は、これがこの子の体格なので問題ないですよ、と言っていたし

園医さんはデータを点で見ていて、個別の成長曲線を見ているわけじゃないのかも

息子は、確かにBMIで見るとぽっちゃりかもしれないけど、現時点で健康被害が出ているわけではない


こうして私は成長曲線を見直して、むしろ経過が順調なことを再確認しました。そして、今の食生活が大きくは間違っていないことを確認するチャンスを与えてくれた園医さんと保育士さんに感謝の気持ちも持てました。


子育てには絶対的な「正解」がないと思います。でも子育て経験のある大人は、自分の考えを教えて(押し付けて)くれることもある。医師の意見だって、自戒の意味も込めて、絶対的な事実ではなくて、最も科学的に根拠のある意見です。将来的に否定されるかもしれないし、現に医学は日々進歩して昨日の常識が今日の非常識になることも多々あります。


子育てアドバイスを一意見として素直に聞いて、参考にはするけど振り回されず、自分の信じるように子育てができれば、子育てを心から楽しめるのかもしれません。

でも、そうはいかないことがほとんどです。少なくとも私はだいたい義理の母や保育士さん、園医さんとか、私より経験豊富な人達に認めてもらえないと感じると、不安になる。


日本人を含むアジア系の文化では、不確定なことを判断しないといけないとき、社会的証明(周りがどうしているのか)を重視すると言います。それはそれで一つの判断方法で、結果オーライな事も多いでしょう。でも周りの意見で自分を精神的に追い詰めてしまうくらいだったら、意識的に周りの雑音の音量を下げてみて、自分の中に埋もれている判断力をもう少し信頼してみるのも、良いかもしれませんね。


今回少し触れた心理学の話は、ロバート D チャルディーニの著書から抜粋しました。

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