2022/07/06

Love、愛情について

あなたが今、最も愛情を感じている人は誰でしょうか?子供?恋人や結婚相手?日本語で愛情というとあまりピンとこないかもしれませんが、英語のloveはもう少し広い感覚で使われていて、例えば家族を大切に思う気持ちや、友人を思いやることもloveで表現できます。

現在、私の深い愛情の対象は、小学校受験真っ最中の5歳の息子と、日々口が達者になる2歳の娘です。子供に対してはunconditional love、無条件あるいは無償の愛を実感します。それなのに、時々子供の行動に堪忍袋の尾が切れて「もうママは知らないからね!勝手にしなさい!」とか言ってしまうのはなぜなのでしょう。

子供の頃を振り返っても「自分は無条件の愛を受けて育った」と感じている人は少ないかもしれません。それは、例えばしょっちゅう叱られたり、逆に親の期待に応えるような行動は賞賛されご褒美をもらえたりするという経験に基づいています。親はよかれと思って、躾と思ってそうしているわけですが、子供にとっては愛情が条件付きであるように学習してしまうわけです。

本当に健全な無条件の愛というのは、boundary(限度)と同時に発動することが必須です。Boundaryは、自分を守るための条件だと思ってください。そして、設定した以上は必ず守らないと効果がありませんので、守れる自信のないboundaryは設定しないようにします。そして、相手は相手の好きなように行動する権利があります。子供の躾の例で言うと、部屋を片付けなければ、床に落ちているおもちゃは捨てるというboundaryを設定し、子供にも、理由と共にきちんと伝えたとします。

「お母さんが子供の頃は片付けるのが苦手で、おばあちゃんがいつも片付けてくれていたから、大人になってからも片付けるのが上手にならなくて、大変だったの。あなたには自分で上手に片付けられる大人になってほしいから、うちではこういうルールにするんだよ。でも、片付けても、片付けなくても、ママはいつもあなたのことが大好きなのは、変わらないからね」

その後に子供が部屋を散らかしっぱなしにしていたら、怒鳴る必要はなく、淡々とおもちゃを捨てるだけです。子供は泣き喚くかもしれませんが、次から自分で片付ける可能性は高くなるでしょう。そして、子供には泣き喚く権利があります。子供だって1人の別人格で、感情を持ち、プラスの感情も経験すればマイナスの感情も経験し、自分なりの対処方法や処世術を学ぶ時期なのです。

そもそも子供が部屋を片付けないと、なぜイライラするのか考えてみます。その裏には、「またレゴを踏んで痛い思いをするのはもうごめんだ」「他にやることいっぱいあるのに、また片付けに時間を取られる」「いくら片付けてもまた散らかして、これはあと何年続くんだろう」「旦那は子供の遊び相手とか楽しいことだけやって、家のこういう仕事は目も向けない」「もう◯歳なのにこんなこともできないなんて、私の子育てが間違っているのか」「このまま片付けられない大人になったら自分の責任だ」「この部屋を義母が見たら、私が非難される」こんな潜在的な考えがきっかけになっているかもしれません。でも、その考えって本当に正しいのか、考えてみてください。世の中の片付けられない子供たちってたくさんいると思いますが、全員しょーもない大人になっているんでしょうか?片付けが上手な子供は、全員立派な大人に成長するのでしょうか?立派な大人って、どういう大人ですか?

もっと言うと、イライラや怒りは、もっと不快な感情を誤魔化すための二次的な感情の場合が多いのです。具体的には恐怖や失望、拒絶などの感情です。子供の躾の場合は、子供の将来に関する不安を感じなくて済むように、もうちょっと耐えやすいマイナス感情、目の前のおもちゃや子供の無頓着な表情にイラつく、というものに無意識にすり替えている可能性があります。あるいは、部屋が散らかっているのを見ても何もしない夫にイライラするとしたら、「夫は自分の子育てに関する不安を理解してくれない」「私の気持ちを理解しようともしてくれない」「私のことを大切に思っていない、どうでも良いと思っている」「このまま夫婦仲は冷え込んで離婚に至るのではないか」など、拒絶される恐怖が隠れている可能性があります。

夫には夫なりの子供のおもちゃを片付けない理由があります。自分ほど散らかっていること自体、気にならない。それならば、気になる方の自分が対処するのが合理的です。あるいは、親が片付けてしまったら子供が学ばないから、根気良く待っている。それなら、boundaryの設定に一緒に関わってもらうのも良いでしょう。もしかしたら、どこかで片付けは母親の仕事という先入観が働いているかもしれません。そういう場合でも、そのことを話し合えば、双方が納得のいく代替案を見つけられるかもしれません。ちなみに我が家は逆で、夫がまめに片付けて、私はほとんど手を出さず子供に口うるさく言うというパターンです・・・

unconditional loveは、何も24時間、365日愛情を実感していると言うことではありません。そして、自分の感情を押し殺して相手の言いなりになることとも違います。無条件というのは、何をやっても許容する、と言うこととも違います。

子供が自分の思い通りに行動しない時に、怒りとか失望とかのマイナス感情を伴うことなく、愛情を実感できたら、どんな感じでしょうか。普段怒ってばかりのお母さんの行動が変わると、子供も徐々に変わるかもしれません。

今回は子供を例に話しましたが、unconditional loveは万人に対して抱くことのできる感情です。私の学んだthe Life Coach Schoolの創設者で思考モデルを世の中に広めたBrooke Castillo氏は、実の母親に対する例で話をしています。

Brookeのお母さんはよく、予告なしに家や仕事先にBrookeを訪ねてきたそうです。その度にBrookeは嫌な思いをしていましたが、実の母親に来ないで、と言うのも良くないと思い、毎回我慢していたそうです。しかし、我慢しているが故に、母親には冷たい態度で接することが多かったと言います。そこで、ある時勇気を振り絞って「お母さんのことはとっても大切だし私も会いたいとは思っているけど、私には私の予定があるから、予告なしに私を訪ねてくるのはやめてね。電話の一本もなしにピンポンしてきたら、今後は玄関を開けないから。」と言ったそうです。お母さんは突然のことに深く傷つき、しばらく口を聞いてくれなくなった言います。それでも、Brookeはそのboundaryを守り続けることで、母親にまた会うようになった時には、それまでのように冷たく接するのではなく、一緒にいることを心から喜べるようになったそうです。次第にお母さんもboundaryの意味が理解できるようになり、親子関係はそれまでにないくらい良くなったそうです。

身近な人にunconditional loveを感じることができるというのは、自分自身の幸せにもつながります。そして、見落としがちだけども最も大事なのは、自分に対してもこのunconditional loveを抱くことなんです。自分を叱咤激励しないと何も改善しないのでは、失敗し続けるんじゃないか、と心配するかもしれません。確かに自分に厳しくすることで成功を勝ち取ってきた人は多くいます。でも、必要以上に自分に厳しくすることは負の感情を伴ってしまい、萎縮したり肩に力が入ってしまって、結局理想的な行動に結びつかないことが多いのです。自分に厳しくするやり方には限界があります。同じ目的を達成するにも、自分を受け入れ、温かい励ましの言葉をかけた方が実力をフルに発揮できるのです。

謙虚さが大切とされる日本人には特にハードルが高いかもしれませんが、自分をありのまま受け入れると言うことは、人間関係や仕事、子育て、あらゆる場面で成功への近道なのです。自分に厳しくする人生を歩んできた人にとって、自分をありのまま受けるのは根気強いトレーニングが必要で、コーチングの得意とするところです。今すぐもっと知りたいと言う人は、まずはShirzad Chamine氏の著書Positive Intelligence(翻訳版:スタンフォード大学の超人気講座 実力を100%発揮する方法)をお薦めします。

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